2010年8月26日木曜日

志ん生は聞かせる

やはり、志ん生は聞かせる。

火焔太鼓」ももちろんいいが、何度も聞きたくなるのは、「黄金(こがね)」だ。
「下谷(したや)の山崎町を出まして」から始まり、麻布絶口釜無村の木蓮寺までの道順を、とちることなく語るところは唸らせるし、和尚の支離滅裂なお経は、何度聞いても面白い。


替わり目」もいい。
女房に、酒のつまみは何にもない、コウコもないと言われ、「じゃぁ、生で食う。」と言って、「生で食って~糠を食って~」と歌うのがかわいい。「こんな美人の女房をもらって・・・」と惚気を聞かされると、奥さんはどんな品のいい美人なんだろうと、想像をめぐらせてしまう。


三軒長屋」も繰り返し聞きたくなる。
出だしの方の、湯屋でのヘコ半とがりがり宗二との喧嘩を語る場面から面白い
トビの連中にからかわれる、質屋・伊勢勘の二号さんの女中は、かわいそうだが笑ってしまう。
いつ何どきでもご入用の節は明け渡します」という店請証文(たなうけじょうもん)を入れているから、出ていけといわれたら(店立て)しかたがないという頭(かしら)の言葉は、借家法がない時代を実感させる。家を担保(抵当)に取ることを「家質(かじち)」と言ったことも、この話で知った。頭のおかみさんが、カジキと聞き違えるのも無理はない。


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