2011年4月10日日曜日

志らくの金明竹

NHKで始まった「三遊亭圓歌の演芸図鑑」を見た(録画で)。

立川志らくが登場し,「金明竹」をやってくれた。

志らく版は,中橋の加賀屋佐吉方からやってきた使いが,大阪で働いていたアメリカ人という設定。
欧米人が日本語(関西弁)を話すトーンで「先度(せんど)、仲買いの弥市が取り次ぎました道具七品のうち、祐乗,光乗,宗乗三作の三所物(みところもん)・・・」という件(くだり)をやる。

与太郎が三千円やるからもういっぺんやってくれというと,「わては物もらいやおまへん」,「じゃあ結膜炎か」・・・ずいぶん賢い与太郎だ。

呼ばれたおばさんが与太郎のことを「親戚から預かっている愚かしい者で」というと,「Oh! Poor Boy」,「プアプアのボインを見せろ?」・・・踵の皮を食べさせられた赤ん坊の母親はこのおばさんという設定のようで,おばさんの歳は三十そこそこ(と想像する)なので,こういう展開が成立すると見た。

「三所物(みところもん)」は「水戸黄門」にしか聞こえない。

旦那が帰ってきて・・・
「お湯屋さんから来た刑事(デカ)」
「西友でネクタイを買いたい」(See you next time)・・・

「金明竹」が現代でも成立するのを示してくれた。

客席に女性が多い雰囲気で,赤ん坊に踵の皮を食べさせたという件では「え~(やだ~)」という感じの声が上がり,使いの口上を「・・・兵庫の屏風に・・・」と一気にやると驚嘆の声が上がっていた。
志らくも,気持ちよくやれたのではないか。

立川談笑は,津軽弁バージョンでやっている。

金明竹」は,三代目三遊亭金馬の話を堪能した。
わて,中橋の加賀屋佐吉方から参じました。先度,仲買の弥一が取り次ぎました・・・・」という口上を一度は暗記した。

今回の志らくは,「貸し猫・・・旦那にサカリがついた・・・」の部分をやっていないので,短縮版だったと思う。
今度は,全編を聞いてみたい。

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圓歌歌丸の対談もおもしろかった。
圓歌は胃を取り,歌丸が胆嚢を取ったというような話から始まった。

歌丸は昔,新作をやっていたが,師匠の古今亭今輔から「覚えておきなさい」と古典を教えられた,しかし古典ばかりやっていて怒られた(ネット検索すると,歌丸が今輔から破門され,米丸門下に移ったようだ)とのこと。

対談にも出てきたが,圓歌の「中沢家の人々」は爆笑物だ。
圓歌の爆笑落語(談志もどこかで圓歌は客を一番笑わせると言っていた)は歌之助にも引き継がれているが,圓歌が生きているうちに生で聞いてみたい。

談志の話も出てきた。
「談志は繊細な男だ。それがわかっていたら腹は立たない。それを見ないで野郎のおっかねぇところばかり見ている」という圓歌の話を,談志が聞いたら涙を流すだろう(憎まれ口を言うだろうが)と思った。

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